大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和32年(ラ)410号 決定

主文

本件抗告を却下する。

理由

抗告人は東京地方裁判所が同庁昭和三十年(ケ)第三九号不動産競売事件について昭和三十二年六月二十七日なした競落許可決定に対し抗告する旨の抗告状を同年七月一日当裁判所に提出したことは抗告人提出の抗告状の記載及び同抗告状に押捺された日附印により明らかであり、本件記録によれば、原裁判所が右事件について競落許可決定を言い渡したのは同年七月十二日であることが認められる。ところで、利害関係人が即時抗告をなし得るのは、競落の許否についての決定があり、その決定により損失をこうむる場合に限られているから、競落の許否についての決定がなされていないときには即時抗告をなすことは許されない。

更に抗告人は抗告の理由書提出と題する書面を同年七月二十五日に提出したことは抗告人の同年七月二十五日附書面及び同書面に押捺された日附印により認められるが、右は原決定が言い渡されてから即時抗告申立期間たる一週間を経過した後に提出されているから、右書面をもつて適法な即時抗告の申立があつたものとみることもできない。

従つて抗告人のなした本件抗告は不適法でその欠缺を補正することができないから主文のとおり決定する。(昭和三二年八月一〇日東京高等裁判所第一〇民事部)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例